|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩4 Candida glabrataと妊娠―自験例を含めた考察―
三宅 かほり, 石渡 瑞穂, 荷見 よう子, 亀井 良政, 久具 宏司, 藤井 知行, 小島 俊行, 上妻 志郎, 武谷 雄二
東京大学産科婦人科学教室
妊娠中のカンジダ膣炎は稀ではなく,大半は母児及び妊娠予後に大きな影響なく経過する.しかし,深部真菌症を発症した場合,児の死亡などの重篤な結果に至ることがある.今回我々は,子宮内カンジダ感染により流産に至ったと考えられる症例を経験した.症例は33歳,1経妊1経産,前医にてIVF-ETにより二絨毛膜二羊膜性双胎妊娠が成立した.当科への紹介後,18週5日に発熱,全身関節痛,肝酵素上昇を認め,感染症が疑われ入院となった.子宮収縮増強も認められたため切迫流産と診断し,子宮収縮抑制剤点滴を開始した.胎児発育は正常範囲内であった.発熱,肝機能異常が断続的に持続し,切迫流産症状の抑制が困難となり,20週1日流産に至った.流産後は発熱,肝機能異常の改善を認めた.19週1日の腟分泌物培養よりCandida glabrataが検出され,抗真菌腟錠による治療を行っていたが,20週0日の静脈血培養からも同菌を検出,胎盤病理組織検査でも胎盤カンジダ感染を指摘された.ウイルス学的検索で異常はなかった.カンジダ腟炎は妊産婦に発症することの多い疾患であるが,子宮内感染へ移行した場合は治療が奏効せず,流早産,母体敗血症などの原因となる事がある.起因菌がC. glabrataである場合,掻痒感等の症状が軽く,典型的な白色帯下を認めず,鏡検にても菌糸形成を認めないため診断が困難である.また,フルコナゾールなどの抗真菌薬に耐性を有することが多いので,C. albicansと比較して治療が困難である.妊娠中のC. glabrata感染に関する問題点を検討し,文献的考察も含め報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
195-195, 2004
|