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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩4 妊娠32週未満の早産症例における絨毛膜羊膜炎の関与の検討
澁谷 裕美, 渡邉 由紀子, 望月 朋子, 佐野 裕子, 酒井 謙, 勝又 木綿子, 酒井 啓治, 土屋 清志, 岩下 光利, 中村 幸雄
杏林大学産婦人科
絨毛膜羊膜炎は早産の原因として近年注目を集めており,切迫早産やpreterm PROM(pPROM)の病態生理に強く関与していると考えられている.我々は胎盤病理所見から絨毛膜羊膜炎と診断した妊娠32週未満の早産症例を,臨床症状からpPROM群と切迫早産群に分類し(多胎妊娠は除く),また,母体及び胎児の合併症により人工早産とした症例をコントロール群として,3群間で絨毛膜羊膜炎の発症病態に違いがあるか検討した.胎盤病理組織検査は,病理医の診断に基づいて検討し,Blanc分類I度以上を絨毛膜羊膜炎,Nakayama分類1度以上を臍帯炎と診断した.pPROM群では切迫早産群に比較し,絨毛膜羊膜炎や臍帯炎が高率に合併し,また,他の2群に比較して新生児の炎症所見は有意に高率に認められた.pPROM群では感染に起因する慢性肺疾患(CLD I型,II型)が多く,一方,切迫早産群では肺の未熟性に起因する慢性肺疾患(CLD III型,III’型)が多かった.以上より,妊娠32週未満の早産の原因として,切迫早産とpPROM群では病態が異なり,pPROM群では炎症が病態の主体であるのに対して切迫早産群では炎症以外の因子も関与していることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
196-196, 2004
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