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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩5 突然の子癇重積発作よりHELLP症候群に至った1例
南島 典子, 齊藤 俊雄, 大淵 紫, 佐川 泰一, 林 敏, 鈴木 康伸, 清川 尚
船橋市立医療センター産婦人科
子癇発作,HELLP症候群は妊娠中毒症の合併症の一つであり,母体死亡の原因ともなる重篤な疾患である.今回我々は,妊娠経過中,妊娠中毒症を認めず,陣痛発来後突然の子癇発作を繰り返しHELLP症候群に至った症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する. 症例は30才1経妊1経産,妊娠経過中特に異常は認められなかった.妊娠40週6日陣痛発来にて近医入院.入院後突然の子癇発作を認め,母児救命のため脊椎麻酔下にて緊急帝王切開術施行.術中再度痙攣発作を認めたため,当センター母体搬送となった.来院時 意識レベルは清明で,神経学的所見,血液生化学所見,頭部CTにて異常認めず,一般病棟にて子癇発作後の管理を行なった.入院4時間後 3回目の子癇発作を認め,8時間後6回目の重積発作にて気管内挿管・人工呼吸器管理とし,ICU入院となった.また,子癇重積発作後 肉眼的血尿・肝機能異常・血小板低下を認めHELLP症候群と診断した.CT所見では大脳基底核を中心とした広範な低吸収領域を認め,脳虚血像を呈していた.ICU入院後の経過は良好で8日目にICU退室,15日目で退院となった. 突然に発症した子癇重積発作及びHELLP症候群を経験した.妊娠中毒症を併発していなくても本症例の様に一連の妊娠血管攣縮症候群(angiospastic syndrom of pregnancy)が起こる事もあり,妊娠・分娩後 痙攣発作や上腹部痛等を認めた場合 早期の全身管理,治療が必要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
197-197, 2004
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