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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩5 漿液性網膜剥離を発症した妊娠中毒症の2例
國重 浩二1), 三宅 秀彦1), 三田 俊二1), 横田 明重1), 佐々木 茂1), 越野 立夫1), 中井 章人1), 竹下 俊行1), 山田 浩子2)
日本医科大学産婦人科1), 墨東病院周産期センター2)
今回我々は,妊娠中毒症により発症したと考えられる漿液性網膜剥離の2例を経験したので報告する.【症例1】25歳,初産婦.妊娠35週2日,妊娠中毒症重症および子宮内胎児発育遅延のため他院より紹介となる.入院時血圧123/87mmHg,24時間蓄尿中蛋白654mg/dl,下肢の浮腫を認めず,児の推定体重は1624gとtypeII IUGRであった.入院後も中毒症は増悪傾向,浮腫は顔面にもおよび,これに伴い黄色視,視力低下が出現,眼科的診察により漿液性網膜剥離と診断された.症状の改善を認めず,妊娠36週1日,緊急帝王切開を施行,出生体重1451gの生児を得た.術後一過性に眼症状の増悪を認めたものの,中毒症の改善に伴い網膜剥離も改善した.【症例2】28歳,初産婦.妊娠30週頃より血圧上昇,尿蛋白を認め,前医にて管理されていたが増悪傾向,重症妊娠中毒症管理目的で妊娠32週5日に紹介となった.入院時血圧152/83mmHg,24時間蓄尿中蛋白1688mg/dl,下肢に浮腫を認め,眼底検査では特に異常を認めなかった.入院後も中毒症は改善せず,高度の蛋白尿が持続したため妊娠33週5日,緊急帝王切開を施行,出生体重2102gの生児を得た.しかし,手術翌日に左眼の視力低下の訴えがあり,眼科的に診察を行ったところ両眼ともに網膜の浮腫性病変を認め,漿液性網膜剥離と診断された.保存的治療により妊娠中毒症および眼症状は改善した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
199-199, 2004
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