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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩5 産科診療における新しい病診連携の試み
杉村 基1), 河村 隆一1), 西口 富三1), 加賀 俊章2), 沼野 由記2), 中村 友紀2), 小澤 英親2), 金山 尚裕2), 加藤 哲夫3)
浜松医科大学周産期センター1), 浜松医科大学産婦人科2), 加藤産婦人科医院産婦人科3)
【目的】病診連携は,病院診療所間の診療上の相互補完的診療の形態と考えられている.一方,患者からは多様な産科医療サービスの選択肢に対する要望が今後増すと考えられる.そこで,リスクの高い分娩周辺期を病院で対応し,妊婦検診や産褥管理を診療所でおこなう,従来のオープンシステムとは異なる連携が可能か検討するのを目的とする.【方法】平成14年1月から静岡県浜北市産婦人科診療所と浜松医科大学周産母子センター産科間で以下のような病診連携を行った.妊娠35週までを診療所において,以後分娩までは当科で妊婦検診を行い,原則,正常経膣分娩例は24時間以内,帝王切開分娩例では48時間以内に逆紹介する.また,分娩は当科医師が行い分娩システムについては妊娠初期十分なインフォームドコンセントを診療所において行う.【成績】平成14年1月から平成15年12月末までに143例の分娩を当科で行った.母体平均年齢は29.1+/−4.9歳,初産50例,経産92例だった.分娩様式の内訳は経膣分娩95例,帝王切開分娩37例(予定帝王切開23例,緊急帝王切開14例)で,出生児平均体重は2990+/−38gだった.Apgarスコア(5分)が6点以下の例はなかった.緊急母体搬送例は骨盤位初産,前期破水例の1例のみである.逆紹介を行わなかったのは3例で,母体,新生児側理由の内訳は母体感染症,早産,新生児NICU入院が主たる理由だった.【結論】本連携分娩システムでは診療所の分娩周辺期のリスクを回避でき,産褥期の十分な管理とサービスの提供が行える.また,日頃からの連携により緊急母体搬送例についても受け入れ病院側のリスクを軽減できると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
200-200, 2004
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