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<< 学会誌へ戻る 妊娠・産褥期は凝固系の亢進や線溶系機能低下等の血液変化，さらに妊娠子宮による静脈の圧迫等により静脈血流が停滞し，血栓症を惹起しやすい環境にある．今回，我々は産褥期に発症した巨大恥骨部皮下膿瘍の治療経過中に撮影されたCTにより，診断にいたった深部静脈血栓症例を経験したので報告する．【症例】34歳，2経妊2経産婦．既往歴，家族歴に特記事項なし．現病歴：他院において妊娠41週で正常分娩．翌日より恥骨部痛が出現し恥骨結合離開の診断のもと，保存的治療がなされた．産褥第18日頃より恥骨部皮下腫瘤出現したため，産褥第22日当院救急部に紹介された．来院時点でのCTにて恥骨結合離開及び巨大皮下膿瘍と診断，当院整形外科に入院し排膿ドレナージが施行されるも改善見られず，産褥第25日当科に紹介された．その後，皮下膿瘍は徐々に減少したが産褥第29日に行ったCTで左大腿静脈血栓が指摘された．超音波断層法においても浮遊血栓が確認されたため，下大静脈一時フィルターを挿入し血栓除去術を施行した．伴わせて術後ヘパリンナトリウム10,000単位/日投与を行った．産褥第36日に施行した左下肢静脈造影では遺残血栓ならびに新生血栓は見られず，ヘパリンナトリウム10,000単位/日に加えワーファリン3mg/日内服を開始した．ところが，産褥第39日に行ったCTでフィルター部に血栓が確認されたため，フィルターを交換．伴わせて産褥第41日から第45日にウロキナーゼ24万単位/日を点滴投与した．産褥第47日に施行したCTでは明らかな血栓は認められず，同日フィルターを抜去した．本症例について若干の文献的考察を加えて報告する． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 203-203, 2004 |
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