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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
産褥 帝王切開術後早期に絞扼性イレウスを発症した一症例
多田 和美1), 野口 崇夫1), 西川 正能1), 大島 教子1), 星野 恵子1), 田所 望1), 深沢 一雄1), 渡辺 博1), 六角 丘2), 窪田 敬一2), 稲葉 憲之1)
獨協医科大学産婦人科1), 獨協医科大学第2外科2)
帝王切開術後に発症するイレウスは少なくないが,絞扼性イレウスの発症は稀である.今回我々は,帝王切開術後早期に絞扼性イレウスを発症した症例を経験したので報告する.症例は33歳,初産婦,17歳虫垂切除術,28歳より皮膚筋炎にてプレドニン4mg/日内服中.妊娠37週6日陣発にて前医に入院するも血圧が180/111と上昇したため,分娩管理目的にて当院に搬送となった.入院時血圧は180/104であったが,その他諸検査では問題なかった.入院後高度一過性徐脈が出現したため緊急帝王切開術を施行した.腹腔内に癒着は見られず,児は2267g女児であった.術後2日目朝に排ガスが見られた.午後より創部痛・胃痛などが出現し経過を見ていたが,3日目の朝血圧の低下が見られ,超音波検査を実施した.腹腔内出血は見られず,ステロイド離脱症候群を考えステロイドの投与を行った.しかし血圧は不安定であり全身管理目的にてICU入室後再度超音波検査を行い,肝臓の周囲に液体の貯留があり腹腔内出血疑いにて開腹術施行となる.開腹所見では,虫垂切除後にできたバンドにより小腸が絞扼され広範に壊死を起こしていた.このため,小腸を150cm切除し人工肛門造設を行った.術後経過良好であり,5ヶ月目に人工肛門閉鎖を行った.本症例ではイレウス特有の症状がほとんど見られず,術後の疼痛との鑑別が困難であった.絞扼性イレウスは診断の遅れが致命的となる可能性があり,術後のは鑑別診断の1つとして考慮することが必要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
204-204, 2004
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