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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児1 一絨毛膜品胎に発生した胎児間輸血症候群の一例
林 晶子, 松本 泰弘, 立松 美樹子, 堀越 嗣博, 菊池 昭彦, 海野 信也
長野県立こども病院産科
一絨毛膜三羊膜品胎の3児間に発生した胎児間輸血症候群(FFTS)を経験したので報告する.症例は,29歳,1回経産.妊娠11週,近医にて自然妊娠の品胎と診断され,13週5日当科受診.初診時3児に異常なく,一絨毛膜三羊膜品胎と診断.15週1日シロッカー手術施行.以後外来管理していたが,20週頃から第3児に発育遅延が出現した.22週5日の入院時点では羊水量の差は見られなかった.23週1日,3児(最小児)が羊水過少,stuckの状態となり,翌日には,2児(最大児)に腹水,羊水過多出現.2児(受血児),3児(供血児)間のFFTSと診断.同日,治療的羊水穿刺を施行し,900ml羊水除去したが,2,3児に状態改善は認められなかった.23週5日,3児は持続性徐脈から子宮内胎児死亡となった.3児が子宮内胎児死亡となった直後より1児心拍はsinusoidalパターンを示し,40分後には持続性徐脈となった.この間,2児心拍は基線細変動の減少を示したが,徐脈は認めなかった.1時間後に緊急帝王切開術にて娩出するも,1児は蘇生に反応せず死亡.2児(受血児)は循環不全,敗血症のため生後8日目に死亡.臍帯血Hb濃度は,1児3.9g/dl,2児23.1g/dlだった.2,3児間に慢性FFTSが存在し,3児の子宮内胎児死亡後に胎盤内循環が変化して,1,2児間に急性FFTSが発生したものと推察された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
206-206, 2004
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