|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児1 2絨毛膜性双胎,1児無脳症,1児髄膜瘤の一症例
宮本 真豪, 下平 和久, 長谷川 潤一, 折坂 勝, 近藤 哲郎, 鈴木 紀雄, 小川 公一, 高橋 諄
昭和大学横浜市北部病院産婦人科
【緒言】双胎の1児無脳症の管理については諸家の報告があるが,もう一方の児に髄膜瘤を合併し,生児を得た症例の報告は稀である.当院倫理規定に基づき,患者にインフォームドコンセントを行ったうえ,以下について報告する.【症例】31歳,1回経妊1回経産.既往歴,家族歴に特記すべきことなし.【経過】原発不妊にてIVF-ET施行後前児を得ている.今回もIVF-ET施行後2絨毛膜性双胎と診断され,分娩目的で当院に紹介となった.13週の時点で第1児が無脳症であることが判明.本人,家族と協議の上,妊娠継続,経過観察とした.22週の時点で,第2児の頭部に嚢胞様部分が発見され,髄膜瘤もしくは脳瘤が疑われた.嚢胞様部分は頭頂部正中に左右対称の形で存在し,超音波では脳実質の脱出は評価困難であった.胎児の脳内構造は保たれていたが,26週ごろより左の側脳室後角が11mm程度と軽度拡張を示したため,毎週の検診を行った.34週の時点で胎児MRI施行し,脳実質の脱出の可能性が少なく,髄膜瘤の可能性が高いことを確認した.35週6日の時点で,側脳室拡大の増悪を認めたため,帝王切開術を施行した.第2児は2240g男児,アプガールスコア8点.無脳症児は1568gの女児であった.第2児の出生後のMRIで2分頭蓋,髄膜瘤の確定診断を得,生後2病日に髄膜瘤整復術を施行した.現在まで,水頭症の進行も見られず,経過良好である.【結語】35週まで妊娠継続した,無脳症児と髄膜瘤を合併した児の,2絨毛膜性双胎症例を経験した.母体および家族の精神的ケアを含めた周産期管理に検討を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
207-207, 2004
|