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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児1 子宮内胎児発育遅延のみと出生前診断されたmosaic trisomy 9の一症例
河野 照子1), 山中 智哉1), 深田 幸仁1), 中村 雄二2), 星 和彦3)
独立行政法人国立病院機構甲府病院産婦人科1), 中村産婦人科医院産婦人科2), 山梨大学附属病院産婦人科3)
mosaic trisomy 9は特徴的な顔貌,頭蓋骨縫合離開,心奇形,手足の奇形,精神運動発達遅延などの多彩な異常と発育遅延を伴い,多くは乳幼児期に死亡する予後不良の疾患である.その頻度は非常に稀であり,世界で約30例,本邦では数例の報告があるのみで出生前診断された症例は少ない.今回我々は子宮内胎児発育遅延のみと出生前診断されたが,出生後の染色体検査にてmosaic trisomy 9と診断された一症例を経験したので報告する.【症例】33歳,1経妊1経産.近医にて妊婦健診受診していた.妊娠35週頃から胎児発育遅延徴候出現し,妊娠37週0日当院紹介初診された.初診時の超音波断層検査にて推定児体重1,854g,AFI 6.2cmと子宮内胎児発育遅延,羊水過少が認められ,他に異常所見は認められなかった.Non-stress testはreactiveであった.妊娠37週3日腹式深部帝王切開術を施行し,1,740g,Apgar 1分後8点,5分後9点の女児を娩出した.臍帯動脈のpH 7.309で児は出生後一過性多呼吸みられたため酸素投与を行った.耳介低位,眼裂狭小,下腿外反,指の重なり,頭蓋変形,軽度の三尖弁閉鎖不全などが認められたため染色体検査を施行したところ,47,XX,+mar[21]/47,XX,+9[2]/46,XX[7]と診断された.その後,陥没呼吸,無呼吸発作,喉頭軟化症みられたため人工呼吸管理を必要とした.現在,児は生後140日で2,800g,自発呼吸はあり小児科入院中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
210-210, 2004
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