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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
胎児・新生児2
出生前診断した単純性尿管瘤の一症例


山中 智哉1), 河野 照子1), 深田 幸仁1), 依田 逸人2), 星 和彦3)
国立甲府病院産婦人科1), 富士見高原病院産婦人科2), 山梨大学産婦人科3)


 尿管瘤は先天的に膀胱内尿管が嚢胞状に拡張する疾患であり,出生前診断される報告も散見される.今回われわれは,超音波断層検査により本症と出生前診断し,妊娠分娩管理を行った症例を経験したので報告する.症例は26歳,1経妊1経産,既往歴,家族歴に特記すべき事項なし.2003年3月6日を最終月経初日として妊娠成立し,近医にて妊婦健診を受けていた.妊娠16週より胎児の軽度両側水腎症(Grade I)を認めていたが,羊水量は正常範囲であったため経過観察されていた.11月5日(妊娠34週1日),水腎症が悪化したため妊娠分娩管理目的にて当院に紹介となった.超音波断層検査にて胎児の右水腎症(Grade IV)および水尿管症と,膀胱内右後壁に径2cm大の嚢胞を認め,右単純性尿管瘤と出生前診断した.羊水量が正常であったため経過観察し,11月27日(妊娠37週2日),分娩誘発し分娩とした.3,240gの女児で,Apgarは1分後9点,5分後9点であった.児は精査のため当院小児科に入院となったが,全身状態は良好で血液学的検査上も異常は認められなかった.12月1日(生後4日目),CTを施行し,右腎尿路系に腎奇形や完全重複尿管は認めず,右単純性尿管瘤とそれに伴う水腎水尿管症と診断した.左腎尿路系には異常を認めず発熱などの症状もないため経過観察の方針となり,12月8日(生後11日目)退院とし,現在外来にて経過観察中である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 212-212, 2004


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