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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児2 胎児水腫を呈した先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)に対し直視下胎児手術を施行した1例
林 聡1), 左合 治彦1), 和知 敏樹1), 北川 道弘1), 名取 道也1), 千葉 敏雄2), 馬場 一憲3)
国立成育医療センター周産期診療部1), 国立成育医療センター特殊診療部2), 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科3)
【緒言】超音波検査の普及により,最近では先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)の出生前診断例が増加してきている.CCAMの増大に起因する心不全から胎児水腫を呈する胎児CCAMは,そのほとんどが子宮内胎児死亡あるいは新生児死亡に至る予後不良な症例とされ,胎児CCAMで胎児水腫を呈する症例では胎児手術を考慮する必要があるとされている.今回我々は母体へのステロイドでも胎児水腫の改善が得られなかったCCAMに対し直視下胎児手術を施行した症例を経験したので報告する.【症例】25歳,初産婦.妊娠26週時の前医での超音波検査で高度な胎児水腫を合併したCCAM type IIIと診断され,妊娠27週0日に当センターに紹介された.初診時の超音波検査にて高輝度エコー像を呈する充実性腫瘍が胎児左胸腔内を占拠し縦隔は右方に偏移し高度な胎児水腫を呈していた.Cam Volume Ratio(CVR)は3.1であった.妊娠27週4日にCCAMの縮小を期待し経母体的にステロイド投与を行った.腫瘍は縮小傾向を示しCVRは2.4まで低下したが胎児水腫の改善は認められなかったため,当センター倫理委員会の承認のもと妊娠28週4日に直視下CCAM切除術を施行した.術中,術後当日の経過は順調であったが,翌日(妊娠28週5日)に胎児遷延性徐脈が出現したため緊急帝王切開術を行った.1900gの女児を娩出後,直ちにNICUで管理を行なったが生後1日目に死亡した.【考察】本症例は胎児水腫が高度で胎児が手術侵襲に耐えられなかったと考えられた.胎児水腫を呈する胎児CCAMにも生存例が報告されており,高度な胎児水腫を呈するCCAMは胎児手術を行なっても救命できる可能性は低い.今後は胎児手術の適応についてさらなる検討が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
213-213, 2004
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