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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児2 出生前に診断しえた胎児静脈管欠損症の一例
滝澤 基, 雨宮 厚仁, 河野 恵子, 小林 洋子, 鈴木 真梨子, 佐々木 重胤, 久保田 一郎, 白石 眞貴, 佐藤 伊知朗, 池上 淳, 寺本 勝寛
山梨県立中央病院総合周産期母子医療センター産婦人科
静脈管の欠損により臍帯静脈が直接下大静脈に流入し,胎児心不全のため妊娠35週6日に分娩とした症例を経験したので報告する.<症例>22歳1経妊1経産婦,既往歴および家族歴に特記事項なし.妊娠分娩経過:妊娠9週に当院初診,妊娠初期は異常を認めず.妊娠25週4日の健診時に超音波診断法にて下大静脈径の拡張(径6.1mm)と,単一臍帯静脈,右腎臓の低形成を認めた.以後,妊娠28週4日には下大静脈径9.1×7.1mm,妊娠30週4日8.9×10.3mm,妊娠32週4日12.5×10.3mm,と下大静脈は拡張傾向であったが,心不全徴候は認められなかった.妊娠34週4日の超音波診断にて臍帯静脈が胎児の膀胱の左上部を臍帯動脈とほぼ平行に走行して直接下大静脈に流入していることが判明し,静脈管欠損症と診断した.同日羊水染色体検査施行し結果は46,XXであった.妊娠35週5日胎児心不全徴候出現し緊急帝王切開を施行した.児は2266g Apgar score 8/9の女児であった.直ちにNICU入院とし心不全に対して,呼吸管理,利尿剤,強心剤の投与を施行された.諸治療により児は心不全消失し,神経学的にも異常を認めず退院となった.母体は産褥経過良好にて産褥8日に退院となった.経過中の検査及び処置は,その都度患者および家族にインフォームドコンセントを得つつ行った.<結語>静脈管欠損により胎児心不全が出現したが,厳重な妊娠管理と早期の娩出,NICU管理により予後良好であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
214-214, 2004
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