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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
胎児・新生児2 臍帯動脈の閉塞によりnon reassuring fetal statusをきたしたと考えられる臍帯過捻転の一例
齋藤 佳実, 澤田 真紀, 苅部 瑞穂, 西 健, 大塚 由紀子, 松岡 隆, 市塚 清健, 大槻 克文, 関沢 明彦, 岡井 崇
昭和大学周産期センター
妊娠34週にて胎動消失を主訴に来院し,片側の臍帯動脈の閉塞を認めnon reassuring fetal status(以下NRFS)に至った臍帯過捻転の症例を経験したので報告する.症例は34歳0経妊,1年前からSLEと診断され,妊娠初期から当院ハイリスク外来にて妊娠管理されていた.プレドニン内服によりSLEはコントロールされていた.17週と29週の胎児超音波検査では臍帯は2A1Vで,臍帯過捻転以外に異常は認めていなかった.妊娠34週4日,24時間にわたる胎動消失感を主訴に救急外来受診,超音波検査・NSTを施行したところBPS2/10点(羊水のみ2点)であった.またカラードプラの併用で片側の臍帯動脈の閉塞及び臍帯静脈のpulsationを認めた.NSTでaccelerationは認められず,FHR baseline variabilityの低下が持続したため,NRFSと診断し緊急帝王切開術を施行した.出生児は2063g,アプガースコア1分値1点・5分値4点,臍帯動脈血pHは7.289であった.胎盤は320g,臍帯は2A1Vであり1本の動脈に凝血塊の充填を認めた.本症例においては羊水量が正常であったこと,出生時の臍帯動脈血にacidosisがなかったことより一連の変化が急性であることが示唆された.本例の臍帯動脈の閉塞には臍帯過捻転の関与が疑われるが,凝血塊形成とSLE合併との関連は不明である.妊娠後期の子宮内胎児死亡の多くには臍帯因子が関連することが知られており,後期の胎児管理における臍帯異常への注意が喚起されるところである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
215-215, 2004
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