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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮頚部悪性腫瘍2 自己採取による子宮癌検診の有用性の検討―細胞診とHPVハイブリッドキャプチャー法の比較―
森 裕紀子1), 田中 邦治1), 小林 裕美子1), 田部 宏1), 西井 寛1), 渡辺 明彦1), 落合 和彦1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学附属青戸病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科2)
【目的】子宮癌検診の新たな受診層の掘り起こし策として自己採取法は一法と考えられるがその精度は未知であるため,細胞診,HPV検出の双方から医師採取と比較し,有用性を検討した.【方法】 2002年12月から2004年3月の間,当院および他院で細胞診異常のため要精査となった40例(平均40.3歳)を対象とした.あらかじめ細胞診とHPV(ハイブリッドキャプチャー法)採取キットを渡し,コルポ下生検あるいは円錐切除術前日に患者自身により腟内よりHPV,細胞診の順で採取した.精検当日は医師により同順で採取し,病理組織診を行った.【成績】 病理組織診で36例(90.0%)に軽度異形成以上の病変がみられた.組織診断別の細胞診陽性例(classIIb以上)は自己採取では軽度異形成11例中3例(27.3%),中等度異形成8例中1例(12.5%),高度異形成4例と上皮内癌7例中は共に0例(0%),浸潤癌6例中2例(33.3%)であるのに対し,医師採取では軽度異形成の1例を除きすべて細胞診陽性であった.HPV中・高リスク型陽性例は組織診断別に自己採取,医師採取それぞれ軽度異形成8例(72.7%),8例(72.7%),中等度異形成5例(62.5%),7例(87.5%),高度異形成3例(75.0%),4例(100%),上皮内癌5例(71.4%),7例(100%),浸潤癌3例(50.0%),4例(66.7%)であった.【結論】 自己採取法は特に細胞診では明らかに医師採取に劣り,サンプリング上の問題が考えられた.HPV検査は医師採取に近い成績も期待できるが,偽陰性や一過性感染の解釈も含め慎重に導入すべきと考える.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
243-243, 2004
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