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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍2 後腹膜腔に発生し卵巣腫瘍と同様の組織所見を呈した粘液性境界悪性腫瘍の一例
松原 正和, 長田 久美, 橘 涼太, 本道 隆明, 木村 薫
厚生連篠ノ井総合病院産婦人科
卵巣外の後腹膜腔に発生する粘液性境界悪性腫瘍は極めて稀とされている.今回我々は,後腹膜腔に発生し,卵巣に見られる場合と同様の病理組織所見を呈した粘液性境界悪性腫瘍の一例を経験したので報告する.症例は36歳,0回経妊.平成16年5月初旬,下腹部腫瘤感を主訴に当院を受診した.下腹部に右卵巣腫瘍と思われる,内部に一部充実性部分を含む径約14cm大の腫瘍を認めた.腫瘍マーカーはCA125が51.4と軽度上昇していた.3月下旬,右卵巣腫瘍の診断で開腹術を行なったところ,左右の卵巣,子宮はほぼ正常であり,右卵巣から完全に離れた右後腹膜腔内に新生児頭大の腫瘍を認めた.腫瘍は虫垂の腸間膜から栄養血管を受けていた.後腹膜腫瘍摘出術,虫垂切除術,子宮筋腫核出術を行なった.後腹膜腫瘍の病理診断はMucinous cystic tumor of borderline malignancyで,卵巣腫瘍に見られるものとほぼ同様の所見であり,間質成分は卵巣間質に類似していた.卵巣外にみられる粘液性境界悪性腫瘍は,膵体尾部に発生するものが知られているが,後腹膜腔内に発生するものは極めて稀であり,これまでに約25例が報告されているのみである.現在,患者は外来にて経過観察中であるが,CA125は低下傾向を認めている.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
254-254, 2004
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