|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍3 卵巣癌化学療法中に発症した骨髄異形性症候群の1例
林 ゆり子, 織田 克利, 松本 光司, 中川 俊介, 八杉 利治, 百枝 幹雄, 小島 俊行, 武谷 雄二
東京大学産婦人科
近年,化学療法の進歩により悪性腫瘍の予後が改善された一方,化学療法に起因する白血病(therapy-related leukemia;TRL)の発症が新たな問題となっている.今回,卵巣癌再発化学療法中に骨髄異型性症候群(myelodysplastic syndrome;MDS)を発症した症例を経験したので報告する.症例は56歳,2経産.約2年前に初回手術を施行,卵巣癌IIIc期(pT3cN0M0)と診断された.術後,TJ療法(Paclitaxel+CBDCA)が6コース施行され,初回治療終了となった.加療終了後も約半年に渡り血小板減少(<7万/μl)が遷延したが,骨髄穿刺で異常所見なく,薬剤による骨髄抑制と考えられた.その後,マーカー再発の診断にて,weekly TJ療法を4コース施行.血小板減少遷延(約4万/μl)のため,weekly T療法に変更し,2コースが追加された.その2週後より微熱が出現し,末梢血にて芽球・異型性が認められ,再度骨髄穿刺施行.12%の芽球と3系統の異型,der(5;17)(p10;q10),−7の染色体異常が認められ,MDS(RAEB=II)と診断された.TRL起因薬剤としてはアルキル化剤,トポイソメラーゼII阻害薬が有名だが,近年プラチナ製剤も注目されてきている.本症例ではTJ療法開始より1年8ヶ月後にMDSを発症し,プラチナ製剤によるTRLで報告されている5,7,17染色体異常を認めることから,CBDCAによるTRLの可能性が疑われた.TJ療法は卵巣癌における標準治療の一つであるが,TRLとの関連についてさらに検討が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
255-255, 2004
|