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<< 学会誌へ戻る リンパ管腫の成因は明らかではないが，主に胎生期のリンパ管流出部の局所的うっ滞によって発生すると考えられている．好発部位は頸部，腋窩，四肢であり，腹腔内の発生は稀である．膵臓に発生するリンパ管腫は極めてまれであり，膵リンパ管腫の本邦報告例は本症例を含め28例のみである．今回我々は稽留流産を契機に骨盤内巨大腫瘍を指摘され，画像診断より卵巣腫瘍を強く疑ったが，手術中に膵嚢胞と診断，病理組織診断にて膵リンパ管腫と確定診断された症例を経験したので報告する．症例は15歳．0経妊0経産．既往歴・家族歴に特記すべき事項なし．平成15年12月12日，腹痛，妊娠10週稽留流産，骨盤内腫瘍疑いで他院より紹介受診．経腟超音波にて子宮内に胎嚢有り．頭殿長32mm．胎児心拍認めず．子宮の前に径13cmの腫瘍を認め，妊娠10週稽留流産，卵巣腫瘍疑いにて入院となった．MRI検査では子宮前壁に絨毛付着と思われる筋層の低信号を認め，子宮内腔に1cm程の胎嚢あり．子宮前方に，径15×7×14cmの嚢胞状腫瘤を認めた．右卵巣に腫大なく，妊娠子宮，左卵巣嚢腫疑いと診断し，同日子宮内容除去術を施行．その後，全身状態良好であるも軽度腹痛が持続し，家族の希望もあったため骨盤内腫瘍除去術を施行．手術所見は子宮，両側付属器正常．腫瘍は膵臓に連続するcystic tumorであった．Cystを損傷せずに摘出するため，膵尾部，脾臓摘出術施行．虫垂切除術も行った．後の病理組織診断にて膵リンパ管腫瘍と診断された．本症例はリンパ管腫の一部がかなり大きく，骨盤腔を覆っていたため卵巣腫瘍との鑑別が困難であった．今回症例を通じて得た知見を文献学的考察とともに報告する． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 258-258, 2004 |
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