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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
卵巣悪性腫瘍4 卵巣原発カルチノイド腫瘍4例の検討
金田 容秀, 荻島 大貴, 吉田 学, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
卵巣原発カルチノイド腫瘍は閉経後に多い胚細胞由来腫瘍の亜型で,稀な組織型である.臨床的には,約1/3にカルチノイド症候群を呈し,腫瘍切除により速やかに症状は軽快し,再発,転移は6%未満といわれている.当院では平成9年5月から平成16年4月までに,4例の卵巣原発カルチノイド腫瘍を経験したので報告する.平均年齢は42.5歳(28歳から65歳)で,閉経例は1例だった.主訴は,全例において下腹部痛もしくは腹部膨満感だった.腫瘍マーカーCA125は1例のみ135U/mlと高値を示し,他3例は陰性だった.CA19-9値は全例で陰性だった.術式は,出産歴のない2例に対しては,患側部の付属器切除術を行った.また,出産歴のある2例に対しては患側部の付属器切除に加え,単純子宮全摘出術も行った.病理組織学的には,trabecular typeが2例,strumal typeが2例で,mature cystic teratomaの並存が2例,mucinous cystadenomaの併存が1例,カルチノイド腫瘍のみが1例だった.術中迅速病理診断が行われた1例は境界悪性型粘液性嚢胞腺腫の病理像だった.4例中3例に特殊染色が行われ,クロモグラニンA,グリメリウスおよびNSEといった神経原性マーカーが陽性を示し,神経内分泌顆粒の存在を認めた.術後追加療法は全例で行われていない.転帰は全例無病生存である.なお,trabecular typeの2例では術前に頑固だった便秘症状が,術後速やかに軽快している.卵巣原発カルチノイド腫瘍は,術前診断が困難な一方,組織形態学的特徴と免疫組織化学を用いて容易に診断することが可能であり,また,術前に頑固な便秘を呈する卵巣腫瘍の症例では,本疾患を鑑別に置いた管理が必要であると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
259-259, 2004
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