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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
妊娠分娩1 先天性ATIII欠乏症合併妊娠の2例
成智 美恵, 成瀬 寛夫, 磯村 直美, 松本 美奈子, 尾崎 直哉, 渋谷 伸一, 村越 毅, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院産婦人科
ATIII欠乏症は頻度0.03%と稀な疾患だが,本症の70%が妊娠を契機に血栓症を発症するため,その予防が重要である.今回,ATIII欠乏症合併妊娠2症例を経験したので報告する.<症例1>初産,血族にATIII欠乏症患者がおり検査,ATIII活性45%,本症と診断.29週から入院.ATIIIは1500〜3000単位/週2回投与し,補充前活性は70〜80%で維持.アスピリンを併用.胎児発育は順調.36週からATIIIに加え,低分子ヘパリン5000単位皮下注開始.アスピリンは中止.38週5日,胎児ジストレスにて帝王切開術施行.2978g・女児出産.術直前ATIII1500単位補充.術後より低分子ヘパリン5000単位/日を持続静注.術後第8病日に未分画ヘパリン10000単位/日皮下注に変更.術後第14病日よりアスピリン内服へ切り替え,退院.本症例は現在第2子妊娠中であり,ATIII1500単位隔日投与としATIII補充直前の活性は60〜80%前後で推移.前回帝王切開術であるため,妊娠38週帝王切開術予定.<症例2>初産,二絨毛膜二羊膜双胎.血族に血栓症の既往あり精査,ATIII活性46%,本症と診断.24週から入院.ATIII1500単位隔日投与し,補充前活性は70〜80%で維持.両児の発育は順調.34週で陣痛発来.両児とも骨盤位であるため緊急帝王切開術施行.第一子:2272g・男児,第二子:1982g・男児を出産.術直前ATIII1500単位補充,術中は間欠的空気圧迫法使用,術後より低分子ヘパリン5000単位/日を持続静注.術後3日目よりワーファリン5mg内服開始.4mgでほぼ安定したため,術後第10病日に退院.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
262-262, 2004
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