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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
妊娠分娩2 常位胎盤早期剥離後にTTPを発症し血漿交換,血液透析を施行した一例
朝倉 禎史, 松村 好克, 川瀬 里衣子, 小木 三郎, 里見 操緒, 五十嵐 健治, 渡辺 美智明, 鴨井 青龍, 河村 尭, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
血栓性血小板減少性紫斑病(以下TTP)は血小板減少,溶血性貧血,腎機能障害,発熱,精神神経症状を,5徴とする疾患である.産科領域のHELLP症候群や,産科的DICとも病態像が重複する点も多く,関連性が示唆されている.また妊娠分娩産褥はTTPのリスクファクターである.今回我々が経験した症例は既往歴の特にない39才初産婦で妊娠35週でIUGRを認め10日間の入院,安静,点滴療法を行なった以外は順調に経過していた.妊娠37週で突然の下腹痛にて来院,来院時IUFDとなっており常位胎盤早期剥離と診断後緊急帝王切開分娩を施行した.術中の止血は困難であり産科的DICに陥った.術後DICの治療と共に濃厚赤血球,新鮮凍結血漿,血小板の輸血を行なったが,術後12時間経過してもヘモグロビン,血小板は著明に減少し,腎不全も進行していった.さらに血小板輸血を行なうもヘモグロビン,血小板は減少,肝酵素の上昇,溶血がみられ,腎機能障害は進行.破砕赤血球も認めたため溶血性尿毒症症候群(以下HUS)またはTTPと診断した.感染性疾患が否定的であった為TTPと判断し術後4日目より血漿交換,血液透析を施行した.胎盤病理検査では新鮮な梗塞創を認めるのみであったことから,まず常位胎盤早期剥離が起こりTTPに移行したと考えるが,TTP,HUSと常位胎盤早期剥離,産科的DICとの関連等につき報告したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
264-264, 2004
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