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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
妊娠分娩4 直腸癌合併妊娠の1例
金 成実, 渡辺 未央, 安井 功, 内田 能安, 杉 俊隆, 牧野 恒久
東海大学専門診療学系産婦人科
大腸癌は一般的に罹患年齢が高いため,妊娠との合併は稀で妊娠10万例に対し1〜2例の頻度とされている.今回我々は,心窩部痛を主訴に来院し直腸癌合併妊娠と診断された症例を経験したので報告する.〔症例〕38歳,2経妊2経産,家族歴・既往歴に突記すべき事なし.妊娠経過は前医にて管理されていたが特に異常を指摘されていなかった.妊娠31週頃より心窩部痛が出現し前医受診.肝腫大を指摘され同日当院紹介受診,入院となった.診察上肝臓は肋骨弓下4横指に触知された.超音波検査にて多発する結節状陰影を認め,転移性肝癌を疑いCT・MRI施行.S状結腸から直腸に長さ64mmに渡って著名な壁肥厚を認め直腸癌が疑われた.大腸内視鏡にて肛門側より18cmに4/5周性の腫瘤性病変を認め,生検により腺癌が検出.直腸癌合併妊娠と診断した.妊娠32週6日に帝王切開術を施行.児は1784gの男児,Aps4/9であった.術後6日目,外科にて低位前方切除・回腸人工肛門増設術施行され病期分類stageIVと診断.現在化学療法中である.妊娠に合併した大腸癌は進行した状態で発見されることが多く,消化器症状を訴える患者に対しては大腸癌の存在も念頭に置き,早期診断・治療することが必要と思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
270-270, 2004
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