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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
妊娠分娩4
妊娠初期に急性心筋炎を発症し心不全に至った1例


倉田 章子1), 村岡 光恵1), 高木 耕一郎1), 下倉 和修3), 布田 伸一3), 太田 博明2)
東京女子医科大学附属第二病院産婦人科1), 東京女子医科大学産婦人科2), 東京女子医科大学附属第二病院内科3)


 元来健康であった女性が,妊娠を契機に心不全に至ることは稀である.今回我々は,妊娠初期に重症妊娠悪阻の診断で入院加療中,心不全を発症し,精査にてウイルス性心筋炎と診断された稀な症例を経験したので報告する.症例:39歳3回経産婦,妊娠10週に重症妊娠悪阻の診断にて入院.入院時肝逸脱酵素の軽度上昇を認め,補液管理を開始するも,3日後,AST 830 IU/L,ALT 150 IU/Lと急上昇を示したが,超音波検査で肝胆道系に異常は認めなかった.同日深夜に突然の呼吸困難を認め,血液ガス分析にてPO2 48.5mmHgと著しい低酸素血症と,胸部レントゲン検査にて肺うっ血と心拡大を認め,うっ血性心不全と診断.CKは3812 IU/Lと上昇し,心筋炎の診断で内科転科となった.強心剤,利尿剤による心不全治療で小康を得た後,妊娠による心負荷を軽減する目的で,妊娠12週3日,患者と家族にインフォームドコンセント後,腰椎麻酔下に子宮内容除去術を施行.術後は頻発する心室性期外収縮を認めたが,抗不整脈薬内服にて軽快.術後3週にて軽快退院した.発症翌日に施行した心筋生検により心筋炎と診断されたが,ウイルス封入体は認められず,リンパ球浸潤,壊死も顕著ではなかった.しかし,エコー11ウイルス抗体価がペア血清で8倍から64倍と4倍以上の上昇を示し,ウイルス性心筋炎と診断された.妊娠前半に発症した心筋障害の報告は少ないが,突然死の原因の一つにもなりうる.本症は妊娠を中断しても,50%前後に何らかの後遺症が残るといわれ,予後も不良である.心疾患の既往のない妊婦に突発する心不全の鑑別診断にあたり,本症も念頭に置く必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 271-271, 2004


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