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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
妊娠分娩5 当院における骨盤位分娩の経験
山崎 龍王1), 大塚 進1), 伊藤 英一2), 稲葉 不知之3), 多田 和美3), 渡辺 博3), 稲葉 憲之3)
本島総合病院産婦人科1), 伊藤産婦人科2), 獨協医科大学産婦人科3)
骨盤位分娩様式については,世界的に帝王切開術を選択する傾向にある.当院では可能と判断された症例については,経膣分娩を試みている.骨盤位経腟分娩の妥当性を評価するために,正期産単胎骨盤位30例を検討した.全例に,十分なインフォームドコンセントのもと,分娩様式を選択した.予定帝王切開としたのは8例であった.その内訳は,足位2例,膝位1例,前回帝切1例,本人の選択(前期破水,高年初産,難産の既往など)4例であった.経腟分娩を試みたのは初産婦12例,経産婦10例であった.その中で初産婦2例が,それぞれ胎児仮死,分娩停止にて緊急帝王切開となり,残り20例は経腟分娩であった.予定帝王切開群においては,1分後アプガースコア6点以下の仮死はみられず,(8例とも5分後アプガースコアは9点以上となった.)経産婦の骨盤位経腟分娩10例に関しては,1分後のアプガースコア6点以下の2例も5分後には8点以上に回復した.初産婦の骨盤位分娩の1分後アプガースコア6点以下をみると,経腟分娩群10例で3例,緊急帝王切開群2例で1例あった.しかし,それらの5例中全例が5分後には8点以上に回復しており,転帰は良好であった.標準的な分娩様式が,選択的帝王切開となってきた正期産骨盤位分娩の場合も,本人の希望と十分なインフォームドコンセントのもとに,緊急帝王切開への切り替えが可能であり,骨盤位の取り扱いに習熟した産科専門医が介助し,慎重な分娩管理のもとに,経膣骨盤位分娩を試みることも可能であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
271-271, 2004
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