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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
妊娠分娩5 「説明と選択」の強化と児頭外回転術の導入は骨盤位妊娠の周産期予後を向上させる
坂口 健一郎, 松田 秀雄, 川上 裕一, 岡本 三四郎, 古谷 健一, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科
【目的】骨盤位分娩の危険性は広く認知され,帝王切開が次の妊娠機会に影響を与えることもあり,超音波機器を利用した安全な経腟分娩:児頭外回転術(ECV)〜頭位分娩が模索されている.当院では過去10年間に165例の骨盤位分娩を経験したが,ECVは施行せず.平成13年4月より,骨盤位分娩に対する「説明と選択」を強化し,ECVを積極的に導入した結果,分娩様式の変化と経腟分娩の増加,新生児予後の向上をみたので報告する.【方法】異常妊娠を除く妊娠35週以降の骨盤位経腟試験分娩(TOLB)可能な症例のうち,ECV導入以前2年間の43症例(A群)とECV導入以降の33症例(B群)の全76症例を対象とした.B群に対し,TOLB,ECV,選択的帝王切開について安全性と危険性を説明し選択を依頼した.ECVは入院の上,超音波検査後,子宮収縮抑制剤投与下に行った.A群とB群でTOLB率,総経腟分娩率,希望帝切率,陣発後緊急帝切率,総帝王切開率,1度以上の新生児仮死率を比較検討した.またECV後の転帰も検討した.【成績】ECVの施行率は75.7%,成功率は76.0%.成功例の94.7%が経腟分娩し,失敗例の100.0%が希望帝切となった.A群vs. B群でTOLB率は69.8% vs.0.0%,総経腟分娩率は34.9% vs.54.5%(p<0.05),希望帝切率は27.9% vs.42.4%(p<0.05),陣発後緊急帝切率は37.2% vs.3.0%(p<0.01),総帝切率は62.8% vs.45.4%(p<0.05)であり,1度以上の新生児仮死率7.0% vs.0.0%であった.【結論】骨盤位経腟試験分娩の選択症例は大幅に減少,総経腟分娩数は上昇,総帝王切開率および新生児仮死の発生率は減少した.「説明と選択」の強化と積極的な児頭外回転術の導入が周産期予後向上に大きく貢献したと考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
272-272, 2004
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