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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
妊娠分娩5 分娩直後における子宮収縮薬は有効か?
石井 康夫, 中安 ルナ, 高江 正道, 杉浦 聡, 敦賀 哲史, 佐藤 千歳, 渡辺 理子, 中川 潤子, 木戸 道子, 宮内 彰人, 安藤 一道, 杉本 充弘
日本赤十字社医療センター産婦人科
分娩後の異常出血を防ぐため,分娩後に種々の子宮収縮薬の投与が予防的に広く行われている.しかし,それが本当に有効かどうか,有効であれば子宮収縮薬は何がよいか,投与はいつが効果的なのかを検討した.対象は妊娠37週以上の経膣分娩例である.子宮収縮薬の種類および投与時期によりA〜Gの7群に分けた.A群は子宮収縮薬を投与しなかった.B群はマレイン酸メチルエルゴメトリン(メテナリン)1Aとオキシトシン(アトニンーO)1単位を児娩出後・胎盤娩出前に,C群は胎盤娩出後に静注した.D群,E群はマレイン酸メチルエルゴメトリン1Aを,F群,G群はオキシトシン1単位を同様に静注した.出血量は,A群が386±235ml,B群が315±197ml,C群が361±182ml,D群が322±202ml,E群が381±229ml,F群が312±161ml,G群が340±180mlであった.Dunnett法による多重比較の結果,A群とB群間,A群とD群間,A群とF群間に有意差が認められた(p値はそれぞれ0.0069,0.0102,0.003であった).すなわち,分娩後に子宮収縮薬をしない場合よりも,児娩出後・胎盤娩出前に投与した方が出血量が少なく有効であり,薬剤としてはオキシトシン1単位,マレイン酸メチルエルゴメトリン1A+オキシトシン1単位,マレイン酸メチルエルゴメトリン1Aの順に少なかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
273-273, 2004
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