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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
妊娠分娩6
妊娠中期胎胞形成例における緊急頸管縫縮術の工夫と課題


早田 英二郎, 松田 秀雄, 坂口 健一郎, 高橋 宏典, 岡本 三四郎, 川上 裕一, 古谷 健一, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科


 【目的】妊娠中期の胎胞形成例は,保存的治療のみでは妊娠延長効果は期待できないうえに頸管縫縮術の難易度が高く,集学的な治療が必要とされる.当院の工夫を紹介するとともに,自験例を後方視的に検討し,今後の課題を考察する.【方法】2001年4月より2003年3月の期間で16例の胎胞形成症例を経験した.説明と選択を得て手術を施行した症例は12例であり,予後良好な9例と予後不良な3例を比較した.一方,保存的治療のみで経過をみた4症例と,コントロールとして胎胞形成がみられず,予防的頸管縫縮術を施行した4症例を比較検討に加えた.母体血中WBC,CRP,子宮頸管エラスターゼ,胎児性フィブロネクチン,羊水中Il-6,Il-8を測定し,胎胞形成の程度,頸管長,膣分泌物の細菌を含め,各群間で周産期予後を比較した.〔手術の工夫〕全身麻酔,超音波ガイド下の羊水除去(胎胞容積以上),リンパ節鉗子またはバブコック鉗子による子宮頸管把持,強彎曲テフロン糸付き鈍針によるダブル-マクドナルド法を標準術式とした.術中,術後に羊水過小となった症例には人工羊水を注入した.術後は抗生剤,塩酸リトドリン,NSAIDs,ウリナスタチンを使用した.【成績】手術後予後良好群で,平均分娩週数は36.0±1.53週であり,術後予後不良群28.2±2.96週,保存的治療群27.1±3.28週,コントロール群38.1±2.95週であった.手術後予後良好群と予後不良群で有意な差を認めたのは術前のCRPのみであった.【結論】当院の工夫で,12例中9例において良好な周産期予後を得た.しかしながら,術後予後不良例が存在した.今後の課題を含めて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 276-276, 2004


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