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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
妊娠分娩7/産褥1 当院で経験したHELLP症候群に関する解析
福田 有佳, 西口 富三, 小林 有季子, 加賀 俊章, 水主川 純, 河村 隆一, 小澤 英親, 杉村 基, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
目的:HELLP症候群は重篤な産科合併症の一つである.本病態は時に産褥期にも発症しうる.今回我々は,妊娠中発症と産褥期発症との間でいかなる相違があるか検討した.対象:当科で経験したHELLP症候群11例をもとに,分娩前発症群(A群)と産褥期発症群(B群)とに分類し比較検討した.尚,HELLP症候群の診断は従来の基準に基づき,また,発症時期は臨床症状の発現をもって判断した.結果:A群は9例そしてB群は2例であった.(年齢27歳〜38歳,11例中10例が初産婦)1)分娩時点のBMI値:A群平均25.8,B群平均22.7.2)発症時週数:A群平均33.7週(うち32週未満の発症2例,36週以降3例),B群は産褥第1日及び3日に発症をきたしたもので,各々の分娩時週数は33週,32週であった.3)妊娠中毒症の合併の有無:A群で9例中8例(高血圧腎症7例,妊娠高血圧1例),B群で2例中1例(加重型).尚,子癇発症例がA群で3例あった.重症度については,重症がA群で5例,B群で1例であった.4)発症誘因:ブスコパン投与の関与例がA群で3例,産後の膣壁血腫形成が誘因となったと考えられる例がB群で1例(ARDSを併発し長期ICU管理を要した).5)HELLP症候群の重症度:A群で9例中6例,B群で2例中1例が重症を呈した.6)回復に要した期間:血小板数(15万/μl以上)では,A群で平均10.4日,B群で平均4日.肝酵素(<100)ではA群で平均7日,B群で平均8日.結論:1)妊娠中の発症例は回復に時間を要する傾向が見られた.2)妊娠中の発症には妊娠中毒症の重症度とは相関が低い傾向がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
278-278, 2004
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