 |
|
  |
|
         
|
<< 学会誌へ戻る 止血に困難をきわめた産褥外陰血腫で，経動脈的塞栓術により救命しえた症例を経験した．症例は一経妊一経産．分娩既往は，自然陣痛発来による正常分娩，出生体重は2860gであった．その他特に既往暦なし．現病歴は，妊娠38週4日微弱陣痛のため，促進目的にてプロスタルモン錠の内服による促進分娩を行った．陣痛発来して4時間で分娩となる．出生体重3106g女児分娩．産道裂傷2度を認めたため処置を行うと，縫合術施行中から，裂傷創とは異なる部位である右膣側壁奥に血腫形成を認めた．血腫形成部の遠位側と近位側に止血を目的として針糸をかけた．しかし，効果がなく血腫部位を解放後に再縫合を試みるも，動脈性の出血が持続し，止血困難な状態となった．出血は2000 mlをこえると予想され，濃厚赤血球を輸血しながら，膣内を圧迫した状態で当院へ搬送となった．当院搬送時，右外陰の膨隆を認め，臀部に激痛を認めていた．下肢痺れは認めなかった．骨盤CTを施行すると，円蓋を超えて頭側後腹膜腔への血腫の伸展が考えらえた．経過からは手術による止血は困難と考えられ，血管造影を施行した．鼠径動脈からカテーテルを挿入し造影したところ，出血部位は，右閉鎖動脈および内陰部動脈の枝血管からであることが分かった．その血管を塞栓しても周囲臓器に大きく影響ないことより，塞栓ゲルを注入し出血部位を閉塞した．処置後ただちに臀部に広がる痛みが消失した．その後改めて，血腫除去術を施行，外陰の膨隆も術後四日目には消失し，MRI上も再血腫形成認めず，退院となった．今回切開血腫除去にも対処困難であった症例に，緊急血管造影を施行し，早期に対処し得た． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 282-282, 2004 |
||
|
一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内 TEL：03-3288-0993 FAX：03-5275-1192 E-mail：kantorengo@jsog-k.jp Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会 |