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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
胎児新生児1
羊水過多症をきたした胎盤血管腫の1例


中山 健, 栗城 亜具里, 宮本 真豪, 近藤 哲郎, 鈴木 紀雄, 安藤 直子, 小川 公一, 高橋 諄
昭和大学横浜市北部病院産婦人科


 胎盤血管腫は,胎盤腫瘍の中で最も頻度の高い良性腫瘍であり,妊娠の約1%に合併する.多くは分娩後に初めて発見される小さなものであるが,大きなものではさまざまな合併症を併発する.今回我々は,著明な羊水過多症を伴った胎盤血管腫の1例を経験したので報告する.症例は33歳,1経妊1経産,前回帝王切開分娩,喘息の既往あり.前医にて排卵誘発後に妊娠成立し,当科紹介受診.妊娠25週までは異常を認めなかったが,妊娠28週の健診時に羊水過多と頸管長の短縮を認め,精査管理目的入院となった.血液検査では軽度の貧血と低栄養を認める以外は血糖値を含め異常はなかった.超音波検査では胎児奇形は認めず心不全兆候や発育異常もなかったが,胎盤に4cm大の血流豊富な腫瘍が観察され,胎盤血管腫が考えられた.羊水量は徐々に増大し児発育は亢進傾向であったが,子宮収縮のコントロールは良好で児のwell-beingは良好であった.妊娠32週の超音波検査で前回帝王切開創部と考えられる部位の子宮筋層が1.6mmと菲薄化しており,子宮破裂の危険性が考えられた.またこの頃より子宮収縮が増強傾向であった.患者本人および御主人に経過を説明し羊水除去を提案したが希望されず,児の予後が充分期待できる週数であることを考慮し,妊娠34週0日に選択的帝王切開術を施行した.胎盤には約5cm大の腫瘍を認め,組織学的にHemangioma of the placentaと診断された.児は2494gの男児でApgar Score 8/9,構造的異常はなく,軽度の心拡大と貧血および全身の浮腫を認め胎盤血管腫に起因する所見と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 285-285, 2004


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