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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
胎児新生児2
胎児クモ膜嚢胞の出生前画像所見の検討


岩下 寛子, 藤木 豊, 志村 玲奈, 安部 加奈子, 竹内 沢子, 漆川 邦, 小倉 剛, 小畠 真奈, 渡邉 秀樹, 濱田 洋実, 吉川 裕之
筑波大産婦人科・周産期総合医療センター


 クモ膜嚢胞は児の頭蓋内腫瘍の約1%を占める良性の嚢胞状病変である.多くは単発性に発生し,その50%は中頭蓋窩に存在する.嚢胞の存在は出生前に超音波断層法により診断できるが,確定診断は困難であることが多い.今回出生前に胎児頭部MRI検査を施行した胎児クモ膜嚢胞の2例を報告する.
 【症例1】25歳1G0P.妊娠36週,胎児頭蓋内の嚢胞状腫瘤のため紹介入院した.嚢胞は50mm大の不正形で,後頭蓋窩正中に存在した.BPDは9.7cmとやや大きく,脳幹・小脳の圧排所見があったが,脳室拡大は認めなかった.胎児MRIを施行し,クモ膜嚢胞を疑った.NSTはreactive patternであった.分娩誘発により妊娠38週6日2,750gの女児をApgar 8(1)-10(5)で分娩した.生後の精査により嚢胞は第4脳室と交通のあるクモ膜嚢胞と診断した.生後水頭症を発症し,脳室およびクモ膜嚢胞にそれぞれシャント術を施行した.【症例2】31歳0G0P.妊娠25週,胎児頭蓋内の嚢胞状腫瘤のため紹介初診した.嚢胞は25mm大,中頭蓋窩に存在し2胞性不正形で,血流は認めなかった.外来管理中嚢胞は緩徐ながら増大傾向を認めた.頭部の拡大および脳室拡大は認めなかった.妊娠35週胎児MRIを施行,巨大な嚢胞にもかかわらず脳幹・小脳の圧排所見が軽度あるのみで,確定診断はできなかった.NSTはreactive patternであった.妊娠37週4日選択的帝王切開により2,310gの女児をApgar 9(1)-9(5)で分娩した.生後の精査により脳室との交通のない中頭蓋窩のクモ膜嚢胞と診断し,シャント手術を施行した.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 286-286, 2004


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