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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
胎児新生児2 Intrauterine fetal brain deathが疑われた一例
鴨下 詠美, 今村 庸子, 沼尾 彰子, 谷 昭博, 天野 完
北里大学産婦人科
Intrauterine fetal brain death(IFBD)はfixed FHR patternを呈し,vibroacoustic stimulation(VAS)に無反応でdecelerationを認めず,胎児眼球・呼吸・嚥下・躯幹運動の消失がみられる病態とされている.これまで3例のIFBDを経験したが,今回本疾患が疑われた症例を経験したので報告する.症例は29歳,0経妊0経産.36週5日に胎動感消失し,翌日近医を受診.CTG上loss of variability(LOV)のため,母体搬送となった.入院時,base line 135bpm,LOVでありVASにも反応がみられなかった.MCA-RI 0.75,UA-RI 0.63であり,超音波上形態異常を認めなかったが胎児運動は消失し,biophysical profile scoreは羊水量のみ正常の2点であった.IFBDが疑われたが,shallow dipを認めたため,帝王切開を施行した.羊水混濁なく,胎盤・臍帯の異常も認めなかった.児は2068gの女児,Apgar score 1分値2点/5分値5点,臍帯動脈血pH 7.24であった.筋緊張なく,出生2分後に自発呼吸を認めた.NICU管理となり人工換気を要したが,順調に経過し日齢1に抜管,CT・脳波上異常なく日齢9に退院となった.IFBDの明確な診断基準は確立していないが,これまでに経験した症例とあわせて文献的考察を加え,診断と対応について検討する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
286-286, 2004
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