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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
胎児新生児3 3D/4D超音波が有用であったconjoined twin(omphalopagus type)の一例
菅原 かな1), 木村 香織1), 井原 規公1), 和知 敏樹1), 新家 秀1), 林 聡1), 塚原 優己1), 左合 治彦1), 北川 道弘1), 名取 道也1), 千葉 敏雄2)
国立成育医療センター周産期診療部1), 国立成育医療センター特殊診療部2)
今回我々は3D/4D超音波が有用であった,肝左葉部分の癒合したconjoined twinを経験したので報告する.症例30歳初産婦.妊娠27週conjoined twin疑いにて紹介来院.カラー及びパワードップラー法を併用した2D超音波検査を施行したところ,両児は臍上方で約3cmに渡り結合し結合部分には肝左葉部分を共有する所見を認めた.共有肝実質内には門脈に由来する血管を認めるのみで,両児の肝内門脈及び肝静脈の走行は独立して認められた.しかし一児の肝内門脈が狭小化して描出され,静脈管は下大静脈流入部分で通常より強く屈曲する所見が得られた.そこで同部位に3Dパワードップラーを用いて検索すると,心臓,臍静脈,静脈管,肝内門脈,下大静脈が立体構築され,静脈管が直角に近く屈曲して下大静脈に流入する所見が明瞭に描出された.両児の胎動により結合部分が強く屈曲することによる変化と推察された.パルスドップラー法による血流解析では,臍静脈,静脈管,下大静脈を含めた血流波形に明らかな異常は認められず心負荷所見も認めなかった.4D超音波検査では肝臓の血管構築がより鮮明に認識された.その後経過は順調で妊娠36週で選択的帝王切開術を行い両児で4030g女児を娩出した.生後のCTにて両児は肝実質の共有部分を認めそれぞれ肝S4と肝S3と思われた.一児の造影効果により臍静脈又は門脈を介した血流がみられた.生後62日に結合分離手術が行われ無事分離に成功した.胎児の腹部血管構築は二次元画像では理解し難いが,3D/4D超音波は2D超音波で得られた血流情報を立体画像で確認し,より視覚的に理解することが可能であった.2D超音波と相補的に用いればより正確な診断の一助となりうると推察された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
289-289, 2004
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