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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
胎児新生児3 一絨毛膜二羊膜性双胎の一児に認めた右肺無形成症の一例
今井 文晴, 定方 久延, 篠崎 博光, 村上 成行, 勝俣 祐介, 高木 剛, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
肺無形成症は一側または両側の肺組織の完全欠如もしくは肺実質形成不全を呈し,しばしば他臓器の異常も伴うまれな疾患である.今回我々は出生前診断を行った一絨毛膜二羊膜性双胎一児の右肺無形成症の一例を経験したので報告する. 症例は24才初産婦,家族歴・既往歴に特記すべき事なし.近医にて一絨毛膜二羊膜性双胎と診断され外来管理となっていたが,妊娠26週6日,第1児の心臓右方偏位と第2児の羊水過多症を認めたため双胎間輸血症候群と一児横隔膜ヘルニア疑いにて当科紹介され入院となった.羊水過多過少症認めるも両児とも膀胱の尿貯留認め,胎児水腫や臍帯動脈血流異常認めなかったため妊娠継続とし,その後5週にわたり羊水穿刺を4回行い約4000ccの羊水を除去した.羊水染色体検査は正常男性核型であった.妊娠27週1日の超音波で第1児にほぼ正常からやや高輝度の左肺および左肺動脈を認めたが,右肺および右肺動脈は認めないため右肺無形成症と診断した.妊娠27週6日MRI施行し同様の所見を得た.また,食道の拡張なく胃胞も正常であった.第2児には特に形態的な異常は認めなかった. 妊娠33週3日破水後陣発し新生児管理のため同日緊急帝王切開を行った.第1児男児1540g Apgar 5-3-8,第2児男児1994g Apgar 8-9-9であった.第1児は右肺無形成症,気管食道瘻,右多指症を認め同日気管食道瘻の手術を施行したが日齢4死亡した.第2児は特に異常認めず軽快退院となった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
290-290, 2004
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