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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
胎児新生児3 パルボウイルスB19胎内感染症:2症例の比較
高橋 宏典, 松田 秀雄, 芝崎 智子, 坂口 健一郎, 鈴木 嘉穂, 川上 裕一, 古谷 健一, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科
【緒言】パルボウイルスB19(以下B19)母体感染例の5%程度が胎児水腫やIUFDに至る.しかし,予後不良となる症例を予測することは困難である.【症例1】37歳1回経産.13週時に感冒様症状が出現した.19週6日,超音波上,胎児水腫を認めたため,当院紹介となった.初診時(20週1日),著明な胎児水腫が認められ,胎児中大脳動脈最大流速(MCA-PSV)は0.62m/sと上昇していた.母体血中B19IgM(EIA)8.87(カットオフ0.8),IgG(EIA)9.64(カットオフ0.8)と共に陽性であった.一方,羊水中B19-DNA定量は4.4×106コピー/mlであった.説明と同意を得た後,胎児腹腔内に抗B19高力価γグロブリン注入療法を計2回行った.胎児水腫は著明に軽快し,現在外来経過観察中である.【症例2】28歳1回経産.16週時に感冒様症状および頬部紅斑が出現した.17週3日,B19IgM陽性と判明したため,当院紹介受診となった.診断確定のために19週3日,母体血液検査及び羊水穿刺を施行したところ,母体血中B19IgM(EIA)9.98,IgG(EIA)11.47とともに高値を認め,羊水中B19-DNA定量は1.9×102コピー/mlであった.超音波上,異常所見は認められなかったため,外来経過観察としている.【考察】2症例において母体血中IgG,IgMは同程度であったが,羊水中のB19-DNA量は著明な差を認めた.症例1において胎内治療の効果発現に伴い,B19-DNA量は減少した.胎内感染の病勢を知るうえでB19-DNA量がその指標となりうると考えられた.2症例における経時的な羊水中B19-DNA量とともに報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
291-291, 2004
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