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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
胎児新生児3
25ゲージPUBS針の開発による胎児採血の安全性の向上


川上 裕一, 松田 秀雄, 芝崎 智子, 坂口 健一郎, 岡本 三四郎, 高橋 宏典, 吉田 昌史, 鈴木 嘉穂, 吉永 洋輔, 早田 英二郎, 古谷 健一, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科


 【目的】胎児採血は胎児循環にアクセスできる比較的簡便な方法として施行されているが,施行に伴う危険性が問題となっている.今回25ゲージ(直径0.35 mm)の針を開発し,安全性の評価を試みた.【方法】1.水中加圧臍帯穿刺試験:説明と同意を得て提供を受けたヒト臍帯を用いた.水圧15 mmHg下に,あらかじめ圧トランスデューサー付カテーテルを挿入して30 mmHgに平衡したインジゴ加生食充満両側閉鎖型ヒト臍帯静脈を穿刺,20秒留置し,抜去した.経時的に内圧を測定し比較した.2.通過血液溶血試験:説明と同意を得て採血した血液を用いた.22,23,25ゲージ針内で血液を通過させた.通過前後の溶血の程度を各種溶血指標で比較した.3.胎児採血後NST:同一麻酔法で週数,児の体重,胎児採血による検査値をマッチさせた36症例で,23ゲージ針を使用した24症例と25ゲージ針を使用した12症例で胎児採血直後に施行したNSTで,variability,accelerationが再現するまでの時間を後方視的に検討した.【成績】1.22,23,25ゲージ針でそれぞれ10.3±1.0 mmHg,14.5±1.2 mmHg,25.0±2.2 mmHgで平衡に達した.2.通過血液の溶血の程度は22,23,25ゲージ針で有意差がなかった.3.23ゲージ針と25ゲージ針とでvariability,accelerationが再現するまでの時間はそれぞれ24.1±9.2分vs.7.3±2.2分,35.2±8.4分vs.14.9±10.2分だった(p<0.05).(mean±SD)【結論】25ゲージ針を用いた胎児採血は1.穿刺による臍帯静脈圧変化が緩徐でかつ抜去後の血圧が高く保たれ,2.径による溶血の恐れは少なく,3.胎児への影響も少ない,ことが示唆された.より安全な胎児採血が可能となることが強く期待された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 291-291, 2004


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