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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
産科統計 経済的に問題を抱える人の分娩
西脇 哲二, 加来 博志, 葛田 憲道, 岩崎 秀昭, 武田 祥子
千葉市立青葉病院産婦人科
出産費用の不払いに悩んでいる施設は,公立病院を中心に少なくないと思われる.通常20万円から40万円かかる出産に対する費用は,確かに経済的に問題を抱えた産婦あるいはその家族にとって負担の大きなものといえるし,逆に健康保険を適用されないゆえ,不払いの数の多い場合病院側の負担も軽くはない.当院は人口約90万人,年間出生数9,000人弱の地方の中核都市が経営する公立病院であるが,分娩した人の14%が生活保護や市民税非課税の世帯もしくは不払い(未納者)で,経済的なもの以外の問題も多くかかえる印象を持っている.今回それらについて分析を試みた.【目的】経済的問題を抱えて分娩する人たちの分娩について周産期結果を中心に分析し,産婦人科医の果たす役割を考える.【方法】1999年1月から2002年12月の4年間に当院で分娩した全分娩数894のうち上記対象となる126分娩について母の国籍,年齢,経産,分娩週数,帝切率,児の計測(体重身長など),児のNICU収容の割合,アプガースコア等について分析検討した.その他入院前の家庭や退院直後の児の養育の問題点(特にDV,あるいは養育不全の問題など)についても検討した.【成績】差がみられたものは年齢(20歳未満,40歳以上),経産回数(3回以上)であったが,それらのファクターや,とびこみ分娩,DVなど養育上問題が起こる可能性の高い項目については対象群に著明に多くみられた.【結論】単に未収金ということに関しては効果的に対策はなかなかないと思われる.分娩から養育という問題に関しては,産婦人科医の果たす役割は限界があるというものの,母子関係確立のためのスタートとして大きなものがあると考える.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
293-293, 2004
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