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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
産科統計 ニューキノロン系薬剤の催奇形性に関する検討
横尾 郁子, 児島 梨絵子, 楯 浩行, 山口 隆, 三島 みさ子, 山城 千珠, 古屋 智, 神山 洋, 伊豆田 誠人, 加藤 賢朗
虎の門病院産婦人科
【目的】ニューキノロン系薬剤は現在広く用いられている抗菌剤であるが,添付文書上は妊娠中の使用は禁忌とされており,このため,使用後に妊娠が判明し,その対応に苦慮するケースにしばしば遭遇する.今回,本邦におけるニューキノロン系薬剤の催奇形性の危険度につき,検討を行った.【対象および方法】対象は,1988年から2003年にニューキノロン系薬剤を使用し当院の「妊娠と薬相談外来」を受診した症例のうち,葉書による問い合わせにより転帰の判明した764例である.【結果】1)使用時期は無影響期387例,絶対過敏期442例,相対過敏期以降33例であった.2)使用した薬剤はレボフロキサシン174例,オフロキサシン157例,ノルフロキサシン119例,トスフロキサシン72例,シプロフロキサシン60例,ナリジクス酸48例,その他134例であった.3)併用薬剤数はニューキノロン単独43例,1〜5種類379例,6〜10種類219例,11種類以上123例であった.4)新生児異常は全体では23例3.0%にみられ,形態異常に限ると,18例2.4%であった.絶対過敏期での使用では12例2.7%(8例1.8%)であった.5)内訳は心房中隔欠損,総肺動脈還流異常などの先天性心疾患5例,母斑4例,口蓋裂,嚢胞腎各2例などであった.【結論】ニューキノロン系抗菌剤使用例の新生児異常発生頻度は3.0%で,これは日母統計の約3%とほぼ同等であった.奇形の種類も一定の傾向はみられておらず,本剤の催奇形性は否定的である.本剤は妊娠中の使用は,添付文書上禁忌とされているため控えるべきであるが,使用後妊娠が判明した症例などにおいては,催奇形の危険度は一般集団と同等という説明をして差し支えないと思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
293-293, 2004
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