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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮内膜症 嚢胞性子宮腺筋症に対してラジオ波焼灼療法を施行した一例
司馬 正浩1), 梁 栄治1), 須藤 祐美子1), 大江 英一2), 竹下 茂樹1), 布施 養慈1), 綾部 琢哉1), 冲永 荘一1)
帝京大学産婦人科1), 川崎市立川崎病院産婦人科2)
子宮腺筋症は頻度の高い疾患であるが,まれに,筋層内に嚢胞を形成することがある.この嚢胞性子宮腺筋症には,これまでの報告によると,ほとんど病巣切除術が施行されている.一方,ラジオ波を利用して組織を焼灼する方法は,肝腫瘍などではすでに広く施行されており,その有効性,安全性が確認されている.今回,嚢胞性子宮腺筋症と考えられる症例に対しラジオ波焼灼療法を施行し,良好な経過が得られたので報告する. [症例]21歳.妊娠歴なし.3年前より月経時の下腹痛が出現,次第に増悪し,痛みのため仕事を休むようになった.超音波検査にて,直径約3cmで内部に点状エコーを持つ嚢胞性病変を子宮筋層内に認めた.MRI検査では,T1,T2強調画像ともに高信号の嚢胞であった.血中CA125は40.4U/ml.以上の臨床経過と検査所見から,嚢胞性子宮腺筋症と診断.本人・家族が,開腹手術の回避を強く希望したため,倫理委員会の承認と,書面によるインフォームドコンセントとを得たうえで,ラジオ波焼灼療法を施行した.Laryngeal maskによる全身麻酔のもと,経直腸超音波のガイド下に,ラジオ波針(Cool-tip RF single needle)を経腟的に嚢胞に刺入し,同部位を焼灼した.なお,焼灼前に,チョコレート様の内容物を吸引し,細胞診に供したが,悪性細胞は認められなかった.手術時間は約15分,出血量は少量であった.術後3日目より下腹痛と熱発が出現したが,頚管拡張と子宮内掻爬術により壊死組織を排出したところ症状も速やかに消失した.画像検査上,嚢胞性病変は消失し,CA125は正常化した.月経痛は,術前の3割程度まで減少し,術後6ヶ月に至るまで,増悪をみていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
297-297, 2004
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