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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮内膜症 腹腔鏡下に手術し得た,仙骨子宮靱帯に発生した異所性子宮内膜症の一例
白石 眞貴, 久保田 一郎, 佐々木 重胤, 高木 司, 河野 恵子, 雨宮 厚仁, 滝澤 基, 池上 淳, 寺本 勝寛
山梨県立中央病院産婦人科
【序言】骨盤内異所性子宮内膜症の発生部位としては卵巣,ダグラス窩・骨盤腹膜,仙骨子宮靱帯,膀胱子宮窩腹膜,卵管,結腸,直腸,直腸腟中隔,広間膜等が挙げられ,頻度としてはダグラス窩や卵巣が多い.今回我々は仙骨子宮靱帯に発生した異所性子宮内膜症に対し,腹腔鏡下に診断,手術し得た症例を経験したので報告する.【症例】34歳,女性.2回経妊2回経産で,月経歴は初経12歳,28日型・順で持続6日間,過多月経,下腹部痛等の随伴症状があった.現病歴は,健診にて左卵巣嚢腫の診断にて平成15年12月12日紹介.左卵巣に4cm大の嚢腫を認め,さらに子宮の左に3cm大の硬い腫瘤が認められた.腫瘍マーカーはCA125:26.8U/ml,CA19-9:8.1U/mlと正常値.MRIでは左卵巣のdermoid cystと,子宮の左側に,子宮と連続しない,3.9cm大で内部にT1強調でHIの血液成分と思われる液体貯留を伴う腫瘤が認められた.平成16年5月7日入院,5月10日腹腔鏡下手術施行.左卵巣は4cm大・嚢腫状で内容は脂肪様でありdermoid cystが考えられた.また仙骨子宮靱帯部に,子宮とは離れた位置に3cm大で漿膜に覆われ表面平滑な腫瘤が認められた.切開を加えたところチョコレート様の内容液が流出し,また厚い被膜を有していた.これらについて腹腔鏡下にて腫瘍摘出術を施行した.その他にはblue berry spot等の内膜症の所見は認められなかった.病理結果は,卵巣はdermoid cyst,仙骨子宮靱帯部の腫瘤はendometriosisであり,結合組織内に内膜腺と平滑筋の増生が認められた.【まとめ】今回,仙骨子宮靱帯に発生した異所性子宮内膜症という比較的稀な症例を経験した.また腹腔鏡下に診断し,手術し得た.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
298-298, 2004
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