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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮内膜症 腹水貯留を呈して診断されたLymphangioleiomyomatosisの一例
山下 宗一, 中村 和人, 青木 宏, 村田 知美, 平川 隆史, 鹿沼 達哉, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
Lymphangioleiomyomatosis(LAM)は主として妊娠可能年齢の女性に発症し,労作時の呼吸苦・反復する気胸・血痰などの呼吸器症状を呈し,進行すると呼吸不全に至る希な疾患である.今回我々は多量の乳び腹水を呈し,LAMと診断された症例を経験したので報告する.症例は30歳.未経妊未経産,既往歴は特になし.月経に伴う右下腹部腫瘤感あり前医受診した際,多量の腹水貯留を認めた.前医で施行したCT/MRIでは左腸骨・膨大動脈リンパ節腫大が疑われた.PETでは卵巣周囲・骨盤底にFDGの集積を認め,腫瘍マーカーであるCA125が385と高値を示したため,原発性腹膜癌疑いにて当科紹介受診となった.当科での内診・経膣超音波所見では,子宮・両側附属器は正常大であったが,左卵巣と腹壁の間に不整形のmass認め,CT/MRIでも同部のリンパ節腫大が疑われた.腹水は乳び色でTGが587と高値を示し,細胞診では悪性像を認めなかった.リンパ管造影では,腫大したリンパ節付近からのリンパ液漏出が認められた.CTガイド下にて腫大したリンパ節生検を施行したところ,平滑筋類似の細胞の異常増殖がみられ,免疫組織学的には平滑筋アクチン・HMB45が陽性となり,リンパ節に発生したlymphangiomyomaが疑われ,胸部CTにて肺野に薄壁嚢胞がびまん性・多発性に認められたためLAMと診断された.現在,当患者は呼吸機能検査にて1秒率が73.1%と閉塞性換気障害の傾向を示しているが,正常範囲内であり,症状も発現していないため当院外来にて経過観察中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
299-299, 2004
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