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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮内膜症 当院に於ける過去5年間の妊孕性温存手術後の妊娠成績の検討
杉林 里佳, 古澤 嘉明, 山本 由紀, 宇野 雅哉, 藤原 礼, 鈴木 真, 大塚 伊佐夫, 清水 幸子, 亀田 省吾
亀田総合病院産婦人科
【目的】挙児希望のある若年婦人科疾患患者において妊孕性の温存は重要な問題である.近年,内視鏡下手術の進歩,各種手術材料の進歩により様々な工夫がなされているが術後の妊娠成績は未だ十分に満足できるものとは言い難い.今回我々は過去5年間に当院にて各種妊孕性温存手術を施行された若年婦人科疾患患者に於ける妊娠成績について後方視的に検討した.【方法】1999年1月1日から2003年12月31日までの5年間に当院において各種妊孕性温存術を施行された40歳未満の患者について電子カルテ上より術後の妊娠の有無等について検討した.【成績】当該期間における対象手術症例は年次毎に増加傾向であった.対象患者の内,既婚の患者は253例,積極的挙児希望のある患者は218例,術後の妊娠例は78例であった.また,術前に不妊を主訴としていた患者は84例で術後の妊娠例は26例(内ARTによる妊娠は6例)であった.妊娠例全体に於ける術後妊娠までの期間は平均16.9ヶ月(1〜60ヶ月)であったのに対し不妊症例では術後妊娠までの期間は平均19.3ヶ月(1〜54ヶ月)であった.【結論】カルテ上から術後の妊娠が確認された症例は積極的挙児希望のある患者の35.8%,不妊患者の31.0%であり当院においても術後の妊娠成績は満足できるものではない.挙児希望のある患者においては術後早期の妊娠は治療に対する満足を得る上で重要な問題である.また,不妊を主訴とする患者においてはさらに早期の妊娠が望まれる.今後の術後妊娠成績の向上のためには更なる術式の検討が必要であり,また,手術所見によって術後の妊娠計画を検討する必要があると思われた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
299-299, 2004
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