|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
絨毛性疾患/その他 自己抑うつ評定法(SDS)を用いた当科更年期外来初診患者における抑うつ傾向の現状
小久保 靖子, 牧田 和也, 張簡 珮怡, 石谷 健, 堀口 文, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶應大学産婦人科
【目的】近年うつ病は増加傾向にあるが,特に更年期女性においては様々な要因を契機としてうつ傾向に陥りやすいことが知られている.更年期の不定愁訴を診断する上でも「うつ病」の鑑別は重要であるが,当科更年期外来においては,以前より初診時検査として自己抑うつ評定法(SDS)を用いた抑うつ傾向のチェックを行ってきた.そこで今回,過去7年間の初診患者のSDSの結果を再検討し,更年期外来受診者の中で抑うつ傾向を示す患者は増加しているか否かを検証したので報告する.【方法】1997年4月より2004年3月までの7年間に当科更年期外来を受診した初診患者のうち,初診時にインフォームドコンセントを得てSDSを施行した計566例(平均年齢51.1歳)を対象とし,2000年3月までの受診者243例(A群)と2000年4月以降の受診者320例(B群)の2群間で比較検討を行った.【成績】(1)A群の総合評定は42.1±10.0(mean±SD)点,B群のそれは42.9±9.2点であり,両群間に有意差を認めなかった.(2)A群では,40点未満の抑うつ傾向なしが101例(41.1%),40〜49点の軽度抑うつ傾向が88例(35.8%),50点以上の中等度以上の抑うつ傾向が57例(23.1%)であった.同様にB群では,122例(38.2%),119例(37.3%),79例(24.5%)であった.(3)50点以上の中等度以上の抑うつ傾向を示した者は,A群B群共にカウンセリングや抗精神薬,抗うつ薬の投与など精神心理的ケアが必要な症例が有意に多かった.【結論】今回の検討では,当科更年期外来受診患者において中等度以上の抑うつ傾向を示した者の有意な増加は認めていないが,初診時にSDSを行うことが,早期に適切な精神心理療法を導入する一助となっていることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
300-300, 2004
|