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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
絨毛性疾患/その他 硬化性苔癬の臨床像と治療について
川名 尚1), 村田 照夫1), 長谷部 敏朗1), 田中 誠治1), 松見 泰宇1), 西井 修1), 沖永 恵津子1), 鈴木 国興2)
帝京大学附属溝口病院産婦人科1), すずきクリニック産婦人科2)
外陰の硬化性苔癬は,中年以後の女性に好発する頑固な掻痒感を主な症状とする疾患であるが,臨床的には,白色病変,表皮の肥厚,小陰唇の癒着,掻傷などその病変は多彩である.文献的にはその5%が悪性化するとも云われている.【対象】1996年以来経験した14例についてその臨床像と治療法と予後について検討した.診断は,臨床的に行ったが,6例は病理組織学的な検査も併用した.【結果】14例全例が長期にわたる強い掻痒感を訴え,外陰に白色病変がみられた.白色調の強いものが8例,軽度のものが6例であった.このうち5例は,上皮の肥厚を伴っていた.左右の小陰唇の癒合が10例にみられ,そのうち5例は,尿道口を被う程の高度なものであった.治療には,当初男性ホルモン含有軟膏を用いていたが,必ずしも有効ではなかった.その後0.05%クロベタゾール・プロピオネート軟膏を用いた所,全例に効果がみられ掻痒感は消失した.しかし病変の白色調は不変であり,また陰唇の癒合は進行することはなかったが離開することもなかった.一度は軽快したが再発した例が2例あった.今までの最長8年間の追跡では悪性化したものはなかった.【考察】本疾患の自然史や病因,病態にはなお不明の点が多い.治療にはクロベタゾール・プロピオネートが有効であるが,治療の最終目標をどのようにするかを確立する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
300-300, 2004
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