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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
絨毛性疾患/その他 正常発育を示す二絨毛膜性双胎に胞状奇胎の合併を認めた一例
市川 美和1), 高井 泰2), 岩田 睦1), 大久保 貴司2), 斎藤 正博2), 林 直樹2), 馬場 一憲1), 竹田 省2)
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門1), 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科2)
〔緒言〕2胎児が生存する双胎妊娠に胞状奇胎の合併を認める症例は非常に稀であり,数例の報告を認めるに過ぎない.また,近年胞状奇胎の診療においては,遺伝子診断の併用が正確な診断や患者の適切な管理に有用であると考えられている.今回我々が経験した症例を呈示し,遺伝子解析結果を踏まえた文献的考察を行う.〔症例〕34歳1回経妊0回経産.自然妊娠.妊娠6週:前医で二絨毛膜性双胎と診断された.7―9週:性器出血にて入院.妊娠13週:超音波検査にて胎盤の一部のmolar changeと子宮収縮を認め管理入院となった.患者の強い希望があり,母体の全身状態や超音波所見などを厳重に観察の上で妊娠継続の方針となった.妊娠17週:当センター転院.両児とも週数相当の発育を認めたが,母体貧血の進行,奇胎の増大を認めterminationの方針となった.奇胎部分の先進を認め,経膣的操作のみでは出血のコントロールが困難と考えられたため,全麻下に経膣的・経腹的子宮内容除去術施行.両児とも女児で,明らかな外表奇形を認めなかった.術後経過は良好で,外来にて経過観察中である.[考察]本症例の病態として,1)正常妊娠+部分胞状奇胎,2)正常妊娠+三倍体妊娠のdiploidization,3)全胞状奇胎を含む品胎妊娠などが考えられる.羊水,胎盤,胞状奇胎組織の染色体およびSTR(Short Tandem Repeat)解析を患者の同意を得て進めており,本症例の分子遺伝学的病態を明らかとしたい.また,胎児共存奇胎は稀な疾患であり,妊娠継続の是非に関しては一定の見解が得られていない.しかし生殖医療による多胎妊娠の増加に伴って本疾患も増加することが予想されるため,病態に応じた管理指針が必要と思われる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
301-301, 2004
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