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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
その他の腫瘍 良性転移性肺平滑筋腫(Benign metastasizing leiomyoma)の1例
佐藤 卓1), 渡邉 豊治1), 伊藤 高太郎1), 山本 豊作1), 野口 浩2)
豊科赤十字病院産婦人科1), 国立松本病院産婦人科2)
良性転移性肺平滑筋腫(Benign metastasizing leiomyoma)の1例を経験したので,報告する.症例は48才,4経妊4経産の女性で,42歳時に腹式単純子宮全摘術及び左付属器摘出術を受けている.人間ドックにて胸部X-P上異常影を指摘され,当院呼吸器科を受診した.胸部CTにて両側散在性大小の結節影を認め,転移性肺腫瘍疑いと診断されたが,腫瘍マーカーに異常所見は無く,また他臓器に腫瘍は認めなかった.腟断端細胞診にて表層・中層細胞が出現したことより,エストロゲン活性の存在が示唆された.気管支鏡検査を施行したが,病理診断に至らなかった.過去の胸部X-Pに結節影を認めた.また観察期間中,腫瘍の明らかな増加・増大傾向はないことからlow-grade malignancyを最も考え,肺部分切除術施行した.病理組織学所見において,腫瘍片中に平滑筋由来の細胞の増生が見られた.mitosis・核異型・壊死像は見られなかった.免疫組織染色にて,α-SMA・desminが陽性,CAM5.2は陰性であり,腫瘍が平滑筋由来であることと矛盾しない結果であった.細胞増殖のマーカーであるKi-67は陰性であった.また,Estrogen・Progesterone receptorは陽性だった.その後,産婦人科紹介受診し,本症例がBMLに相当すると考え,右付属器切除術を施行した.肺腫瘍の病巣数増加はなく,腫瘍径はやや縮小して今日に至っている.初回手術標本の病理学的検討では,リンパ管侵襲など,子宮平滑筋腫の転移の可能性を示唆する像が見られた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
302-302, 2004
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