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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠1 結核性腹膜炎による腸閉塞解除手術既往症例の腹腔鏡下子宮外妊娠手術の一例
橋場 剛士, 水澤 友利, 吉村 泰典
慶應義塾大学産婦人科
症例は31歳,3経妊2経産[既往歴]23歳時に結核性腹膜炎と腸閉塞のため開腹腸閉塞解除手術をうけている[現病歴]最終月経は平成16年4月2日から7日間あり,5月7日に行った市販の妊娠検査が陽性であったため,5月8日(5週1日)に近医を受診した.経腟超音波断層法にて子宮内に胎嚢が観察されず,5月17日(6週3日)の検査でも同様の結果であり,子宮外妊娠が疑われ,5月18日に子宮内容除去術が施行された.内容物の病理組織検査で脱落膜を認めるものの絨毛膜は確認できず,5月26日の経腟超音波断層法にてダグラス窩に凝血が観察されたため,翌5月27日(7週6日)当院紹介受診し入院となった.[入院後の経過]BP 114/94 mmHg,Pulse 106/min.腹部に臍上5cmから臍下10cmにかけて手術創あり,腹膜刺激症状は認めなかった.腟内に少量出血を認め,子宮は前傾前屈で正常大,両側の付属器とダグラス窩領域に広く抵抗を認めた.経腟超音波断層法にて膀胱子宮窩に達する腹腔内出血と凝血を確認した.末梢血Hb 11.7 g/dl,血中hCGは78 mIU/mlであった.子宮外妊娠,腹腔内出血,陳旧性結核性腹膜炎と診断し,腹腔鏡下子宮外妊娠手術を施行した.正中創直下の広汎な癒着を剥離し,器質下した凝血塊を除去し,右卵管采の妊娠組織のみを摘出した.卵管采の洗浄・止血,卵管通色素検査,腹腔内の十分な洗浄を行った.[考察]この症例の経験をもとに,広汎な癒着が推定される場面での安全な腹腔鏡下手術の方法;結核性腹膜炎の腹腔内所見の詳細;次の妊娠を考慮した手術方法について検討したい.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
306-306, 2004
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