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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
子宮外妊娠2/感染症 敗血症性ショックにより診断された卵管留膿腫の1例
加賀 俊章, 谷口 千津子, 沼野 由記, 小林 友季子, 水主川 純, 田中 晶, 和田 久恵, 河村 隆一, 大井 豪一, 茂庭 將彦, 小林 浩, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
卵管は女性性器で炎症を起こしやすい臓器の一つである.経膣的に上行感染により卵管炎が惹起され,骨盤腹膜炎となる場合が多い.しかも下腹部痛および発熱により発症し,抗生剤による治療により軽快する場合が多い.今回我々は,無症候性に経過し,敗血症性ショックの治療中に診断された卵管留膿腫の1例を経験したので報告する.症例は46歳,2経妊1経産.既往歴および家族歴は特記すべき事項なし.4月26日に発熱により近くの総合病院内科受診するも異常を指摘されなかった.27日意識喪失状態で発見され,救急車で同院へ搬送され,入院となる.血圧の低下(76/24),発熱(38.8℃)および頻脈(110/min)を呈し,SIRSの診断基準を充たし,血液所見より敗血症性ショックと診断された.入院後血小板は1.9万/μlまで減少し,DICの合併を認めた.抗生剤投与などにより全身状態は改善したが,感染徴候が持続したため,全身検索を行ったところ,31日CTにて骨盤内膿瘍が確認された.診断目的により同院婦人科へ紹介され,骨盤留膿腫と診断された.全身状態の改善を待って,6月2日治療目的にて当科へ紹介され,入院となる.入院時に施行したMRIにより両側卵管内に膿瘍を認めるも,周囲臓器への波及が軽度であると推定された.これにより感染巣の除去を目的に緊急開腹術を施行した.開腹時,漿液性(炎症性)腹水を中等度認めるも,腸管との癒着は軽度,両側付属器は子宮後面に癒着し,子宮付属器周囲炎を呈していた.そこで,子宮全摘+両側付属器摘出術を行い,手術を終了した.術後は感染徴候の悪化を認めることなく順調に経過回復した.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
308-308, 2004
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