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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
性器異常/不妊 膀胱および子宮に連続性病変を有するMullerianosisの1例からの考察
永田 知映1), 斎藤 絵美1), 高尾 美穂1), 上田 和1), 斎藤 元章1), 林 博1), 茂木 真1), 高倉 聡1), 山田 恭輔1), 清川 貴子2), 落合 和徳1), 田中 忠夫1)
東京慈恵会医科大学産婦人科1), 東京慈恵会医科大学病理2)
MullerianosisはMuller管由来の病変であり,子宮内膜由来のendometriosis,子宮頚管由来のendocervicosis,卵管由来のendosalpingiosisに分類されるが,これらが1つの腫瘍の中に混在している例もある.今回我々はendocervicosisを主体とする膀胱および子宮に連続性の病変を有するMullerianosisの1例を経験したので報告する.患者は30歳1経妊未経産.24歳頃より月経時期と一致して頻尿・血尿が出現,増悪傾向を認めたため当院泌尿器科受診.膀胱後壁〜頂部にかけて3×3×2cmの腫瘍を認めTUR-biopsy施行したところMullerianosisの病理組織診断を得たため当科紹介受診となった.治療法として手術による腫瘍切除または膀胱部分切除を検討したが患者は希望せず,免疫組織染色にてER陽性細胞を30%に認めたためGnRHa療法を選択した.2コース目から症状の改善を認め,6コース施行後に腫瘍径は1.8×1.4cmに縮小を認めた.膀胱Mullerianosisは非常に稀で,Muller管由来上皮が尿路上皮を置換し内腔にポリープ状発育を示すこともあるとされている.Endocervicosisやendosalpingiosisが主体のMullerianosisは報告例が少数のため,現在のところ確立された治療法はない.報告例の中には手術が選択されたものやGnRHaが無効であったものもある.しかし本症例のようにGnRHaにより症状の改善および腫瘍縮小効果が期待される場合もあり,有効な治療法の1つの選択肢になる可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
310-310, 2004
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