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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))
【一般演題】
性器異常/不妊 13歳時に非交通性副角子宮溜血腫・卵管溜血腫を形成した単角子宮の一例
江成 太志, 川村 久恵, 中川 圭介, 山藤 晶子, 上里 忠和, 大岡 史子, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学附属市原病院産婦人科
今回我々は初経後約2年で症状を呈して発見され手術を要した子宮奇形の1例を経験したので報告する.症例は13歳の未妊婦.初経は11歳で周期は30日型・順.当初経血量は少なめであり生理痛も軽度であったが,初経後約2年経過した頃から月経時に腰痛が出現し,その痛みは月経毎に徐々に増悪傾向を示した.また頻度も月経と無関係に出現し持続痛となってきたため当院小児科を受診した.尿路結石を疑い施行したDIPで左腎盂・尿管が描出されず,CTでは左腎無形成に加え2つの骨盤内腫瘤を認めたため卵巣嚢腫を疑い当科紹介受診した.視診上膣・子宮頚部は正常であったが,超音波断層検査にて右に偏位する正常子宮像と左側に偏位する径6cmの壁の厚い血腫像を認め,さらに骨盤腔内中央に径15cmの附属器腫瘤を認めた.MRIでの解析より腫瘤内部は血液様の貯留液と考えられ,以上より左副角子宮溜血腫・左附属器溜血腫と診断し開腹手術とした.術直前に施行したHSGでは右子宮・卵管は正常に造影され疎通性も確認されたが,左子宮は全く造影されなかった.開腹すると索状構造物で右子宮と連結する鵞卵大の左副角子宮と新生児頭大の左附属器腫瘤を認めた.この腫瘤は剥離の結果左卵管溜血腫と確診された.右単角子宮,右附属器には異常所見なく,左卵巣も正常に確認できたため温存し左副角子宮と左卵管を切除し終了した.術後は問題なく現在外来で経過観察中であるが腹痛は消失している.子宮奇形は多種多様であるが本症例は非交通性の副角子宮(AFS分類II-b)だったため発症年齢が比較的早かったと思われた.非交通性副角子宮を有する単角子宮について文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3)
310-310, 2004
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